1. 研究の背景
当基金は設立以来、障害の有無に関わらず、楽しみながら行うことのできるプログラムを開発、提供しながら、障害、障害のある方について学べる場を提供してきた。とりわけ、「ふれあいのスポーツ広場」は、平成4年から自動車総連様のご協力を得て全国的に実施し、平成30年度には47都道府県全てにおいて開催することができた中核的なプログラムである。
平成4年度から延べ24万人を超える方にご参加をいただき、障害福祉サービス事業所、障害者団体の皆様にご協力いただいてきた。多くの障害福祉サービス事業所では、社会参加の一環としてスポーツを位置づけ取り組んでいる団体も有り、福祉サービスの提供のみに拘らず、障害のある方の社会的な障壁を取り除くための活動を進めている状況がある。 一方、ユニバーサルスポーツとして、障害の有無に関わらず行うことのできるスポーツプログラムを提供する団体も徐々に増え、2020年のパラリンピック開催を契機に多くの取り組みが行われている。
2. 研究の目的
当基金の設立目的である、よりよい社会づくりのために協働し共生社会づくりへの一助とするため、障害福祉サービス事業所及びユニバーサルスポーツの提供団体と連携し、障害の有無に関わらず行うことのできるスポーツプログラムの充実に寄与することを目的に、この研究を実施する。
(1) 障害福祉サービス事業所におけるユニバーサルスポーツの取組の状況を明らかにする。
(2) 地域を基盤とした、社会参加のためのユニバーサルスポーツの実例と障害福祉サービス事業所との連携の状況を明らかにする
3.研究会メンバー
藤田 紀昭さん(日本福祉大学スポーツ科学部長・教授)
金山 千広さん(立命館大学産業社会学部教授)
林田 はるみさん(桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部教授)
2019年度調査研究事業
(1) 事例の選定
ユニバーサルスポーツを行っている団体を地域、領域に配慮をしながら抽出し、研究会メンバーとの 協議の上、11 団体を選定した。事例の選定にあたっては、障害者スポーツを障害のない方が参加する という形ではなく、障害の有無に関わらず参加できることを重視した。また、現状では障害のある方の 参加がない場合でも、参加の方向性を堅持している団体は対象とした。
(1) めぐろスローエアロビックサークル(東京都目黒区)
(2)(特非) スポネット弘前(青森県弘前市)
(3)(特非) ジャパンユニバーサルスポーツ・ネットワーク(東京都大田区)
(4)(特非) しっきーず(埼玉県志木市)
(5) 共生・共走マラソン実行委員会(大阪府大阪市)
(6)(特非) 越前市障がいスポーツクラブ(福井県越前市)
(7) 春江町総合型地域スポーツクラブUNITIVE291(福井県坂井市)
(8)(一社) 日本ウォーキングサッカー協会(東京都台東区)
(9) 日本パラアーティスティックスイミング協会(京都府京都市)
(10) 日本ふうせんバレーボール協会(福岡県北九州市)
(11) 日本卓球バレー連盟(京都府京都市)
ユニバーサルスポーツの普及に関する調査研究2019年度報告書
2020年度調査研究事業
ふれあいのスポーツ広場参加の障害福祉サービス事業所に対するアンケート調査
2021年度調査研究事業
~研究の背景・目的~
当基金は設立以来、障害の有無に関わらず、楽しみながら行うことのできるプログラムを開発、提供しながら、障害のある方について学べる場を提供してきました。「ふれあいのスポーツ広場」の競技は、障害のあるなしに関わらず誰もが楽しむことのできる「ユニバーサル」なスポーツをコンセプトに、参加者と運営するボランティアが参加型福祉活動として一緒に楽しむことを目的として開発してきました。そのため、参加者とボランティアが密接にふれあいながら行う「ロープ送り」「風船バレー」等は、中心的なプログラムを担ってきました。
ところが、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大において、新生活ルールが定着されつつある中で、3密を避けながら安全に事業を行う必要性が生じてきました。私たちが大切なものとして考えてきた、垣根をなくすこと、人の距離を縮めていくことを行うための新たなプログラムを作
り出し、提供することが必要に迫られました。
今回、障害福祉サービス事業所や障害児教育の現場で、皆様に安心で障害の有無に関わらず行うことができる「ユニバーサルスポーツ」を、専門家の意見を交えながら、新生活ルールに適用できる非接触な競技として開発したいと考えました。スポーツが社会参加の一環とされる障害福祉サービス事業所の方々に、その機会を減らさないために、またスポーツを触媒とした地域とのつながりが分断されないことを願い、実施致します。
【実施主体】
有識者による研究会
・藤田 紀昭さん 日本福祉大学スポーツ科学部長・教授
・金山 千広さん 立命館大学産業社会学部教授
・林田 はるみさん 桐蔭横浜大学スポーツ健康政策学部教授
・佐藤 一樹さん 仙台ユニバーサルスポーツ研究会 代表
~第1回オンライン会議~
去る2021年9月13日に、コロナ禍におけるユニバーサルスポーツの研究のオンライン会議を有識者4名の方々と実施致しました。主にコロナ禍において提供されているプログラムの事例や提供方法についての議論を交わしました。今後はふれあいのスポーツ広場の代わりとなる提供方法が構築できるよう研究を重ねて行きたいと考えています。
~第2・3回オンライン会議~
コロナ禍における「ユニバーサルスポーツの研究」のオンライン会議を、研究会メンバーと10月・11月に2回実施致しました。会議では、競技内容のみならず競技形式や方法を含めた幅広い話題となり、有識者の方々が実践されている種目やコロナ禍でも対応可能な様々なアイデアについて議論を交わしました。オンライン形式でのプログラムは、参加される施設の場所の想定やIT 環境、そしてボランティアの関わり方等、多角的なアプローチでの提案が目立ちました。ふれあいのスポーツ広場で実施しているジャンケンダンスやスローエアロビックと、新たに開発するコロナ禍におけるユニバーサルスポーツを組み合わせた形式で、今後検証を実施しブラッシュアップさせる予定です。
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~会議で提案された事務所内でも可能なユニバーサルスポーツ(案)~ ※一部抜粋
~コンセプト~
・移動なしで出来る。
・身近な道具を使用する。
・安全である。
・人数に関係なく勝敗を決められる。
・チーム分けする必要がない 他
~競技用具~
・空のペットボトル
・ペットボトルのふた
・傘
・新聞紙
・紙風船
・トイレットペーパー 他
~競技内容~
・ペットボトル玉入れ(傘をゴールに)
音楽が止まったら、傘に向かってペットボトルの蓋を傘に向かってシュートする。又はペットボトルのふたの開け閉めリレーをして最後に傘に向かってキャップを投げる。
・(紙)風船バレー室内版
風船を落とさず時間内で一番たくさん風船をトスしたところの勝ち。
・新聞で輪っかリレー(フラフープでもよい)
新聞で輪(小)を作り、足でリレー。
新聞で輪(大)を作り、手をつないで人から人へと輪を移動させる。
・トイレットペーパー送り
・ポンポンチアダンス
・紙風船リフティング 他
~対面会議~
去る2022年3月9日に当基金事務所において、有識者の方々と対面し、ニュープログラム作りを実践しました。競技を通してつながりを実感できることを前提に、今まで議論を重ねてきたプログラムの内容を試行錯誤し、その結果を報告書としてまとめることが出来ました。
2021年度ユニバーサルスポーツ研究事業報告書(2,433kB)